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二重人格を描いた法廷サスペンス「真実の行方」は、 2時間10分目が離せない傑作映画。

二重人格を描いた法廷サスペンス「真実の行方」は、 2時間10分目が離せない傑作映画。映画

どうも、シマウタオウタオです。
今回のメンタルヘルス映画は、解離性同一性障害(多重人格障害)を描いた「真実の行方」です。

用語説明解離性同一性障害とは、解離性障害の中でもっとも重く、かつては多重人格障害と呼ばれました。辛い体験により、自分と切り離した感情や記憶が裏で成長し、それ自身がひとつの人格を形成し、一時的、あるいは長期にわたって表に現れる状態を言います。
用語の変遷多重人格障害 → 解離性同一性障害

感想では、ラストにも触れているため、ネタバレ注意!でお願いします。

今回も月額400円のAmazonプライム・ビデオで視聴しました。

あらすじ

監督
グレゴリー・ホブリット
脚本
スティーブ・シェイガン
アン・ビダーマン
原作
ウィリアム・ディール
製作総指揮
ハワード・W・コッチ・Jr.
キャスト
リチャード・ギア
ローラ・リニー
ジョン・マホーニー
アルフレ・ウッダード
フランシス・マクドーマンド

全米で130万部のベストセラーとなったウィリアム・ディールの小説をもとにした法廷サスペンス。意外性のあるストーリーと、リチャード・ギア、エドワード・ノートンの名演技が光る傑作。

冬のシカゴで地元のラシュマン大司教が惨殺され、大司教のもとで教会のミサを手伝っていた聖歌隊所属の青年アーロンが容疑者として逮捕された。自分の名前がマスコミに取り上げられることに熱心な敏腕弁護士マーティンは、アーロンの弁護を無償で名乗り出る。

これに対し検察当局は、こちらも敏腕女性検事として名を馳せるジャネットを担当検事に任命し、第一級殺人罪でアーロンを起訴、死刑判決を得るよう指示する。ジャネットはマーティンのかつての部下であり、一時交際していた元恋人であった。

あどけないアーロンの表情を使ったマーティンの作戦も、明らかにされていく宅地開発に絡む大司教への恨みや悪魔払いの名のもとにビデオに収められた醜聞も、検事ジャネットによって次々と提出される物的証拠の前にはなす術が無かった。そんな時、アーロンの精神分析を担当したアーリントン女医がつかんだ事実とは・・・。

感想

以下、ネタバレ注意!

これは面白い。間違いなく傑作である。タイトル通り、目まぐるしく変わる”真実の行方”から、2時間10分目が離せない。そして、ラストのどんでん返しは予測できない展開である。

しかし、そのどんでん返しが「ユージュアル・サスぺクツ」のように爽快感が残るかと言えばそうではない。むしろ後味は悪く、モヤモヤとした気持ちでエンディングを迎える。一部の人がこの映画の評価を下げるのもこの点が理由であろう

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どんでん返しは難しい。映画というフィクションの中で観客を騙すのはたやすいが、「騙された、でも気分がいい」と相反する二つの感情を観客に与えるのは至難の業である。

観客から2時間という時間を奪っておきながら爽快感を与えることは、お金を騙し取られたけど警察に訴える気にならないほど機嫌がいい、に匹敵する超一流の芸術的詐欺師の手腕が必要である。

残念ながら、この映画はその域までは達していない。手口は鮮やかだが後味の悪さが残っており、低評価の要因になっている。

しかしその点を考慮しても、この映画は間違いなく傑作である。2時間10分見る者を飽きさせないストーリー展開と演出は秀逸であり、甘いマスクを逆手に取った軽薄な敏腕弁護士役はリチャード・ギアにふさわしい。

そして2000人を超えるオーディションから選ばれ、この作品がデビュー作となったエドワード・ノートンの演技は圧巻である。巧みな顔芸で、見事にあどけない少年アーロンと凶暴な別人格ロイを演じ分けて見せた。

真実の行方

© 1996 Paramount Pictures.

とても面白い法廷サスペンス映画です。ぜひ一度ご覧になってください。目まぐるしく変わる”真実の行方”に翻弄されること間違いありません。デビュー作でいきなりアカデミー助演男優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞で最優秀助演男優賞を受賞したエドワード・ノートンの演技も必見です。

あとがき~多重人格についての考察

多くの解離性同一性障害の方のお話を聞いてきた経験を持つ私の考察。

Q.ロイは本当に多重人格者を演じていたのか?

A.そうです。演じていただけです。そもそも一貫した記憶があることから解離性障害の症状が見られません。人格は一つであり、凶暴な性質のロイが一人いるだけと考えられます

Q.ロイは生まれつき犯罪気質のある反社会性パーソナリティ障害なのか?

A.おそらく違います。生まれつきの性質は気弱でおとなしいアーロンだと考えます。しかし幼少期の虐待により凶暴な別人格ロイが生まれ(解離性同一性障害になり)、そして主人格アーロンが副人格ロイに乗っ取られ、人格の統合が果たされたものと考えられます。

Q.なぜラシュマン大司教とリンダは殺されたのか?

A.お金がなく物乞いしていたところからも、ロイは無差別に犯罪を犯すわけではなく性的虐待(または性的要因)がトリガーとなり凶暴さが表出するものと考えられます。

ラシュマン大司教が殺されたのも性的虐待がきっかけであり、おそらく恋人であったリンダが殺されたのも性的な何かに起因するものと思われます。

つまり、ロイが受けた幼少期の虐待とは性的虐待であったと推察されます。

エドワード・ノートンが演じた白人の美少年、小児性愛者(ペドフィリア)にとってはさぞ魅力的な獲物に映ったことでしょう(´Д`)ハァ…

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