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古谷実の人気コミックを実写化した「ヒメアノ~ル」は、V6森田剛の怪演光る傑作。

映画

どうも、シマウタオウタオです。
今回のメンタルヘルス映画は、古谷実の人気コミックを実写化した「ヒメアノ~ル」です。感想では、ラストにも触れているため、ネタバレ注意!でお願いします。

本作は、R15+(15歳未満は観覧禁止)です。また15歳以上であっても、包丁を使った刺殺シーンが多数あります。グロ耐性がない方の視聴はお控えください。

今回はネット配信で取り扱っていなかったため、レンタルDVDで視聴しました。とても評判のいい映画ですので、お金に余裕のある方、森田剛ファンの方は購入してもいいかも知れません。

あらすじ

監督
吉田恵輔
原作
古谷実
脚本
吉田恵輔
製作
由里敬三
藤岡修
キャスト
森田剛
濱田岳
佐津川愛美
ムロツヨシ
駒木根隆介

古谷実の同名コミックを、V6の森田剛を主演に実写映画化。ビル清掃会社のパートタイマーの青年が送る普通の日々と、欲望のままに殺人を重ねるサイコキラーの心の闇を描く。

平凡な日常に焦燥感を抱きながら、ビル清掃会社のパートタイマーとして働く岡田進は、同僚の安藤からカフェの店員ユカとの恋の橋渡し役を頼まれる。彼女が働くカフェへと足を運んだ岡田は、高校時代の同級生・森田正一と再会する。

気の進まぬまま安藤の恋路に協力する岡田だったが、ユカから森田につけ狙われ、ストーキングに悩まされていると相談を受ける。そして、ユカが岡田に一目惚れしたことを知り、安藤に隠れてユカと付き合うようになる。

岡田とユカ、そして友人の安藤らの恋や性に悩む平凡な日常。ユカをつけ狙い、次々と殺人を重ねるサイコキラー森田正一の絶望。今、2つの物語が危険に交錯する…。

感想

ヤバい、怖い、面白い。V6森田剛が自然体で演じたサイコキラー森田正一が危なくて怖い。顔は生気がなく死人のようであり、会話をすれば適当な受け答えで嘘ばかり。パチンコ漬けの毎日で常に苛立っており、計画性なく衝動的に人を殺す。

一言で言えば、”絶望”を体現したような男である。

ヒメアノ~ル

©古谷実・講談社/2016「ヒメアノ~ル」製作委員会

吉田恵輔監督が、舞台挨拶で「森田は森田剛にしかできない。たぶん映画を見てもらったらその意味がわかると思う」とおっしゃっていた通り、この役は森田剛にとってハマリ役である。各レビューサイトで絶賛されるのも頷ける。

森田剛とは不思議な人物である。チャラいイメージがあるものの笑顔が少なく、アイドルなのにキラキラと輝いてはいない。どこか影があり、人生に絶望し、惰性で生きている男の雰囲気を感じさせる。

そして、その雰囲気はサイコキラー森田正一にぴったりである。だからこそ、自然体の演技で観客に恐怖を与える。日常に潜むサイコキラーはこういった人間なんだと、本当に怖い人間とは、欲望を持たずに惰性で人を殺す人間だと。

以下、ネタバレ注意!

森田は多くの人間を殺すが、そこに強い殺意は見られない。強い殺意を持って殺したのは、最初の殺人である自分をいじめていた高校の同級生だけであり、後はなりゆきで何となく殺しただけであろう。

なぜなら、森田には欲望がないからだ。高校時代の凄惨ないじめにより、既に心が壊れており、生きる欲望を失っている。生きる欲望がない人間は強い殺意など抱かない。

物語の中盤から岡田とユカを執拗に付け狙うが、それも嫉妬や独占欲など欲望に駆られ動いているわけではない。たまたま目に付いたカフェの店員(さして好きでもない)に男が出来たから、とりあえず殺してみよう程度の殺意である。

ラストで、岡田が森田に包丁を突き付けられ、高校時代のいじめの時に助けてあげられず、仲が良かったのに距離を置いてごめんと謝罪するが、森田は「あぁ、あそこにお前いたっけ?」と覚えてもいない。

岡田にとって、人を殺すには明確な動機が必要であり、心当たりのあるいじめへの対応を謝罪したわけだが、森田にとってはそうではなかった。たまたま目に付いた女性に男が出来て、とりあえず殺そうとしただけであり、それがたまたま高校の同級生であっただけだ。

このサイコキラーの心理にこの映画の恐怖が凝縮されている。誰の日常にも突然に襲いかかる可能性がある無差別殺人。土浦連続殺傷事件、秋葉原無差別殺傷事件、東海道新幹線のぞみ殺人事件…。

心が壊れ、人生に絶望し、自暴自棄になった若者はあなたの身近にも必ずいます。次のターゲットはあなたかも知れません。

各レビューサイトで高評価を得ている面白い映画ですので、ジャニーズ主演はちょっとと毛嫌いせずに、ぜひ一度ご覧になってください。駄作ばかりのコミック実写化の中で、奇跡的に成功を収めた傑作です。ジャニーズでありながら、15歳未満は鑑賞できないR15+に主演した森田剛の演技は必見です。

とても面白い映画ですが、原作とはいくつかの違いがあります。原作ファンであり、漫画「進撃の巨人」の作者である諌山創は、エンタメ映画として楽しかったが、原作のテーマである「反社会性人格障害者の悲哀」を矮小化していると感想を述べていました。また映画では、ラストがエンタメ的にノスタルジーを感じさせる終わり方に変更されています。

古谷実のファンであり、同名の原作漫画を何度も読み返した私としては、映画も面白かったですが、やはり漫画を読んで古谷実ワールドにハマって欲しいなぁと思います。お時間があれば、漫画の方もどうぞ。

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