統合失調症を描いた小説をまとめました。本探しのご参考にしてください。
用語説明統合失調症とは、思考、行動、感情を一つの目的に沿ってまとめていく能力(統合する能力)が長期にわたって低下し、その経過で幻覚、妄想、突飛な行動などが見られる病気です。
有病率約1%(日本の患者数は約100万人)
用語の変遷早発性痴呆 → 精神分裂病 → 統合失調症
風の音が聞こえませんか(小笠原慧)
もし、愛した人が精神を病んでいたら―。幻聴や妄想に苦しめられ、アパートにひきこもった晃の訪問指導を引き受けた新人ケースワーカーの美知。晃と気持ちを通じあうことは容易ではなかったが、美知のひたむきさに、晃は少しずつ心を開き始める。美知も晃の純粋さに安らぎを見出していく。だが、美知は晃の主治医・佐伯にも惹かれていくのだった…。優しさ溢れる筆致、美しいラストシーンが胸を打つ、究極の恋愛小説。
分裂病の少女 デボラの世界(ハナ・グリーン)
狂気の世界の魅力と不思議さが、これほど明晰に、美しく描かれたことはなかったであろう。16歳の少女の、三年間にわたる精神病院での生活と、狂気から現実への旅路をえがくこの小説は、アメリカのすぐれた精神科医フリーダ・フロム=ライヒマンの面影をつたえているといわれる。狂気を語る小説は数多いが、分裂病という難病について、現代の精神病理学がもっている知見をこれほど正確に十分にふまえて書かれた小説は他に類をみない。一つの生命のきびしい闘いの勇気にみちた物語は、無限の悲哀とかずかずの恐怖をテーマに含みながらも、その読後感は、さわやかに人を勇気づけるであろう。
閉鎖病棟(帚木蓬生)
とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった…。彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは―。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。
楡家の人びと(北杜夫)
溢れる楽天性と人当たりの良さで患者の信頼を集めるドクトル楡基一郎が、誇大妄想的な着想と明治生まれの破天荒な行動力をもって、一代で築いた楡脳病院。その屋根の下で、ある者は優雅に、ある者は純朴に、ある者は夢見がちに、ある者は漠とした不安にとまどいながら、それぞれの生を紡いでゆく。東京青山の大病院と、そこに集う個性豊かな一族の、にぎやかな年代記の幕が上がる。
風の街(三上善博)
8年間の引きこもりの末、統合失調症を発病した風間光司。症状に苦しみながらも闘い、人々の信頼を徐々に勝ち得てゆく。その闘病の最中の女優への恋。その行方は?著者が統合失調症患者の、統合失調症患者が主人公の物語。
ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡(シルヴィア・ナサー)
恐るべき早熟な頭脳を持ち、21歳のときに経済学に革命的推歩をもたらすゲーム理論を打ち立てながら、統合失調症を発病。入退院を繰り返して30年以上の闘病生活を送った後に、奇跡的な回復を遂げてノーベル経済学賞に輝いた数学者ジョン・ナッシュ。綿密な取材をもとに、心を病んだ天才の劇的な人生に光をあて、人間存在の深淵と生きることの美しさを描いた感動のノンフィクション。
ある女の生涯(島崎藤村)
主人公おげんは以前より精神を病んでいる。彼女の夫は十年におよぶ遊蕩と放浪の後、帰郷したが間もなく死んだ。一人息子も遊蕩の末死んだ。四十歳になる娘お新には知的障害があり、独身のままである。おげんは六十歳にして婚家を出ようと思い立った。彼女はまず自らの病の療治のため、お新と婆や、それに甥っ子を連れて、知り合いの医者のもとに滞在する。
コメント